ちょうど夕方だったこともあり徐々に暗くなっていく。観覧車が、遊覧船が光始めてとてもきれいだった。都会のわりに人もほどほどでいい場所だった。
そんな中、私は普段海が身近にあるわけではないので海を眺めていると隣のカップルが何やら話しており
「えー! 1人なんてやだよお」
彼氏に言っている。
前後の会話は全然聞こえなかったが、海を一人で眺めている自分を見て言ったのだろうか。
カップルの話のネタにされるなんて光栄だ。この場所に来たかいがあったというものだ。
確かに山下公園に一人で来ている人はとても少ない。夜になって三脚と一眼レフを持ったおじさんが増えてきたが、まだ明るいうちはカップル、家族だらけだった。山下公園の多くの椅子は3人座れそうだがカップルが座っていると一人分余ってしまうなんとも微妙な長さの椅子だった。
「1人なんてやだよお」という気持ちもわからないでもない。
自分も一人家の中で「結婚できない男」の阿部寛みたいにクラシックを聴いたりして時があるが、そこまで高揚した気持にもなれず「あー何やってんだろう」と思うときは確かにある。
でも今日の山下公園は楽しかったよ。ほんとはクルーズとか乗りたかったけど、海を眺めながら今週の仕事や昨日読んだ「左ききのエレン」を思い出したりしてたよ。
手をつないでいるカップルを見れば女の人が左側の時もあるんだなあと視線を移したりできる。
私が今度誰かと山下公園に来る機会があればその時は言うだろう
「前も一人でここ来たことがあるけど、一緒に来るともっと楽しいね」
そんな自由な思考も誰にも邪魔されない。
一人ってのは自由だ
誰かといるときはまたその楽しさがあるのだろうけど、その楽しさを味わうことができるのは一人でいるときの楽しさを知っていればいっそう強く味わえる。
「1人なんてやだよお」と一人の時間を嘆き悲しむなら隣に誰もいなくてもおしゃれして外に出かければいいと思うよ。