紫色のつぶやき

一人でも、金をかけずとも、人生は楽しい

なぜ私はいつも時間に追われているのか、行動経済学の観点から考えてみた。

なぜ私はいつも時間に追われているのか、今回は本「いつも「時間がない」あなたに」を読んで行動経済学の観点から考えてみた。

 

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 

この本から言わせてもらうと私には時間が「欠乏」しているから時間がないという結論になる。

なぜ時間がないのか、それは「時間」が欠乏しているから

 

この本の内容は時間がない人へ向けて時間の有効利用術を書いた本ではない。しかしタイトルにつられて買ったのは私である。うまいタイトルを付けたものだ。

この本は「欠乏」に関して行動経済学を説明した本である。欠乏とはその名の通り何かが足りない状態。私の例のように時間でもいいし、お金、孤独(知人の欠乏)、あらゆることに欠乏の行動経済学は応用できる。

貧困状態の人はなぜ貧困から抜け出せないのか、時間がない人はなぜ忙しさから抜け出せないのか、様々な例を用いて紹介している読み物として非常におもしろい本である。普段、自分に何が欠乏しているのか想像しながら読むとなお面白いかもしれない。

 

ある人物を紹介しよう。

彼は時間の有効活用を研究するのに余念がなかった。仕事をいかに効率よくこなすかはもちろん、アフター5でも仕事に関する勉強や趣味、こうしたブログ執筆まで何でもこなそうとした。

 

ブログのネタがない時にネットサーフィンに逃げてしまうのは誰でも起こりうる誘惑である。そこで時間を有効活用するための記事を見つけようものならすかさずそのサイトを見に行くのがクセになっていた。書いてある内容はほとんど知っていることばかりなのに。

知っているのと実践することは違う。私は時間を有効に使うための様々なツールを知っている。おすすめのtodoリストは「Wunderlist」だし、25分ごとに作業を区切るポモドーロテクニックだって、7つの習慣で言う第2領域に集中したほうがいいということだって知っている。

 

日々の雑用とネットサーフィンを終えるともう夜の9時なんてことはザラにある。

 

読書もしたいし運動もしたい。他にもやりたいことはたくさんあるが睡眠時間をギリギリまで削ってもこれ以上時間はなさそうだ。今日はもう寝ておこう。

できる人は朝の時間を有効に使うから明日の朝は早く起きて朝活をしよう、と早起きはしたものの二度寝とネットサーフィンで朝の貴重な時間はつぶれる。

 

結果彼は溜まった疲れと睡眠負債から体調を崩し風邪を引いた。本来健康だったら必要のない治療に余計なお金や時間を費やす結果となってしまったのだ。

 

ある人物と言うのは私である。

 

私は時間の「欠乏」を感じていて時間を有効利用すること自体が目的となってしまい他のもっと大切なこと(今回は健康)をおろそかにしてしまったのだ。

 

欠乏が欠乏を呼ぶ

この本によれば欠乏を感じている人は「トンネリング」を起こしているという。

「トンネリング」は、トンネル視を連想させることを意図した表現である。トンネル視とは、トンネルの内側のものは鮮明に見えるが、トンネルに入らない周辺のものは何も見えなくなる視野狭窄のことである。

いつも「時間がない」あなたに、p.49

時間を有効に使わなければという思いのあまり、自炊をせずに外食(とりわけファーストフード)ばかりになったり、ちょっと遠くまで行くのに歩くのがめんどくさい、時間の無駄だということでタクシーや新幹線を惜しみなく使用する。これは私がよく行う行動である。

 

確かに目先の時間は節約され自由な時間は増えたように感じる

しかし何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない。本書ではトレードオフと呼んでいるが外食を繰り返すことによる栄養の偏り、タクシーを使うことによる運動不足や資金。こういったものが自由な時間を増やすために犠牲になっていたのだ。

 

時間の欠乏が他の事柄の欠乏を生み、さらに時間を消費することでさらに時間が欠乏する。対象がお金であっても時間であっても欠乏によりトンネリングが生じてしまうと、負のスパイラルに陥ってしまう可能性があるのだ。

 

「スラック」が時間を生む

日々時間に追われるがあまり健康や大切な人との時間など犠牲にしてしまっている人は私だけではないだろう。

本書では欠乏が欠乏を呼ぶ負のスパイラルから抜け出す方法として「スラック」が大切だと言っている。

スラックは本来はゆるみやたるみを意味する。日本語で訳すと「余裕」が近いだろうか。

金銭に余裕がない人はその日暮らしが精いっぱいで自己投資して貧困から抜け出すための職業技能などを身に着けることができず貧困から抜け出せない。だからこそ長期的に貧困から抜け出すためにはスラックが必要なのである。

 

時間も同じように考えることができる。時間の欠乏から抜け出すためには時間を有効に使うための計画やイレギュラーな事象に対処するための空白の時間・余りの時間が必要だ。今回のように風邪を引いてしまった時のために普段から多めに睡眠の時間を確保することができていれば風邪は一日で治ったかもしれない。

また、時間に余裕があればその分自身の健康を向上させるために運動する時間を儲けることもできる。

 

時間が足りない状態から抜け出すためには時間のスラックが必要とは何とも無理難題を言っているように思えるが一日のうち少しでも余裕があれば(実際に時間はある、要は自分が空白の時間をスラックだと意識できるかどうか)長期的な視点で物事や生活を好転させる方法を考えることが可能だ。

スラックがあればトンネリングを起こしにくく、自分が気にしなければいけない様々なことに意識を向けられるようになる、ということだ。

人の豊かさは気にしないでいられるものの数に比例する

 いつも「時間がない」あなたに、p.130