これまた昔の映画、80年代の映画だ。
自由の国アメリカの不自由
時は1959年、全寮制学院ウェルトン・アカデミーの4つの柱は「伝統」「名誉」「規律」「美徳」だ。
自由の国アメリカですら順応する生徒を欲していたのは戦争とも関係がありそうだ。
だがここに赴任した英語教師ジョン・キーティングは違った。彼は破天荒な教師だった。規律を守る学生を育てるのではなく自分のやりたいことを情熱を持ってやることの大切さを教え、周りや規則に順応する危険性を教えた。
真の自由は夢の中にある
昔も今もそしてこれからも
印象的なシーンはやはりジョンが授業中いきなり机の上に立ち生徒にこう言い放つシーンだろう。
先生「なぜ机の上にいる?」
生徒「背を高く」
先生「外れだ
物事を常に異なる側面から見つめるためだよ
ここから見ると世の中はえらく違うぞ
君たちも来い
分かってることも別の面から見直せ
どんなにバカらしく思えてもやってみろ
本を読むときは作者の意図より自分の考えを大切に
君ら自身の声を見つけなくては
ぐずぐずしてると何も見つからないぞ」
順応するのではなく、自分のやりたいことを自身で見つけやろうとすることが大切だと説いた。
生徒の一人に役者になりたい人がいた、しかし親からの圧力が強く、自分に嘘をつきなかなか一歩を踏み出せなかった。
この生徒はジョンの影響を受け、芝居を始める、これが自分の本当にやりたかったことなんだと。
舞台に上がって本当に素晴らしい芝居をした。しかし親は芝居をやることを認めなかった。
なんとその生徒は最終的に自殺を選択する。
夢を持ち、情熱をささげ、やりたいことをやった人が負けたのだ。
学校側はジョンのせいにして退任に追い込むことになる。
残された生徒たちの心境もいささか複雑なものであっただろう。
現実世界そのもの
この映画はフィクションだがこういった話は現実によくある話な気がする。「俺は好きなことで生きていくんだ」と意気込んで仕事を辞めたものの結局失敗しアルバイトをして生計を立てる。
それはそれで立派な心意気だと思うが本人の理想とはほど遠い結果となっていることだろう。
世の中で成功している「好きなことで生きている人」たちの裏にはあまりにも多くの「好きなことで生きることができなかった人」がいることを忘れてはいけない。
脚光を浴びているのはほんの一部だ。
だからこそ「いまを生きる」
何も好きなことで生きることだけが人生ではない。この映画では先生の責任を追及された途端、手のひらを反して先生の言い分を否定する生徒もいた。
それもまた現実的で面白い。人生良い時には多くの人がついてくるし、金回りも良かったりする。しかし、ひとたび信用を落とせば人は離れていく。
あの選択は失敗だったと後から反省することはできるがその時には分からない。結局未来なんて誰にも分からないのだ。
私はこの映画はハッピーエンドでもバッドエンドでもないと思う。これから先も人生は続く、だからこそ「いまを生きる」ことが大切なんだと教えてくれる映画だった。