漫画に映画、ドラマ化もされた「この世界の片隅に」
今このブログを書いているときはまだ第2話を見たところだ。
時は昭和19年第2次世界大戦直前、モノも金も自由も時間もない。そんな中でも主人公北条すず(松本 穂香)はどこか幸せな人生を送っているように見える。
ほんの70年前の日本
水は井戸まで汲みに行く。服は布から自分で作る。野菜は畑で作る。
結婚してお嫁に入れば献身的に夫とその家族を支える。それがこのドラマの世界観だ。
ほんの70年前、日本ではそんな生活が送られていた。
今の時代を生きる若い世代から見れば考えられないことばかりだ。
すずさん、どこか幸せそう
そんな今から見れば何もない時代に生きるすずさんはどこか幸せそうだ。ほとんど話をしたこともないで結婚した夫・周作(松坂桃李)を支えながら妻として家のことや家族のことを一身に頑張る姿。専業主婦とはいえ、今と違い家は広いし家族も多い。時短グッズもない時代では掃除や料理も一苦労。一日の中で自由になる時間はほとんどなかったはずだ。
しかし畑仕事の合間に近所の人とお茶を飲み井戸端会議に花を咲かせる姿。またわずかながらのお金でキャラメルを買う姿はとても幸せそうに見えた。
生活の中で不自由なことが多いが故、自由な時間がとても幸せなものに感じられるのではないだろうか?
自由すぎる現代
現代はある意味で自由というか選択肢が多すぎる。一人一人が自分の生きたいような人生を生きられるという意味では自由は価値あるものなのだが、多すぎる選択肢にいちいち選択を迫られるのはけっこう大変だ。
- 就職せずに短期バイトで食いつないでもいい、
- 結婚せずに独身貴族を謳歌してもいい、
- 出産せずに趣味に生きるのもいい、
- 車を買わずに無駄な税金を支払わなくてもいい、
- マイホームを買わずにミニマリストをしてもいい。
加えてインターネットに溢れかえる情報。自分はどう生きるかという指針が定まってないとすぐに隣の芝生が青く見えてしまい、自分の人生は不幸なんじゃないかと思えてくる。
不自由の中の自由にこそ幸せは宿る
幸せが何か分からない人はぜひ不自由の中に身を置いてみるといいと思う。
会社の昼休みは1時間しかなく短い。1時間でできることなどたかが知れている。
だからこそ昼ごはんを食べた後のコーヒーはおいしい。朝、時間がない中で飲むコーヒーもまた美味だ。
自由に使える休日は心身ともにリラックスできるが、それも週5日間仕事をしているからこそ価値のある休日だと思う。毎日休日がいいという人ももちろんいて、これは価値観の違いとしか言いようがないが、メリハリがなくなってしまうのではないだろうか?
「この世界の片隅で」の世界よりは現代はずっと自由だ。自由すぎるがゆえに幸せを感じられない人がいるのもまた事実。応急処置的なライフハックでしかないけど普段の生活の不自由の中の幸せを見つける、それは他人にとってはどうでもいいことかもしれないけど自分にとっては最高の幸せだったりもする。
明日の朝、時間がない中で飲む予定のコーヒーが楽しみだ。