紫色のつぶやき

どうせそんな悩みは1年後にはどうでもよくなってる

漫画「17歳」  同調圧力に負ける少年たち

 
 
KindleUnlimitedでおススメにでてきた漫画だ(なぜこの本がおススメに出てきたのかは全く分からないが。。。)
 
 
実際に起きた事件をモチーフにしているらしい、結末などは全然違うが例えば加害者、被害者の人数構成だったり導入部分から言えば女子高生コンクリート詰め殺人事件をモデルとしているのだろう。
 
私はこういった本を読んでもあまり気分が悪くなったりはしないが漫画を4巻一気に読み終わり、さらにネットで事件内容などを詳細に調べ始めるとさすがに気持ち悪くなってきた。
 
ストーリーは気の弱そうな主人公がワルのグループの中で犯罪の片棒を担ぐ、というものだ。
今で言うと振り込め詐欺の受け子、出し子、のような人とでも言おうか。
 
いわゆる地元のワルがつるんで最初は軽い気持ちで女子高生に声をかけたのだろう
女子高生に対して監禁、暴力などどんどん残虐化していく様子に仲間も「もう止めよう」と言い出せなくなってしまう。それが最悪の結果へとつながっていってしまう。
漫画の中で主人公とされる人物は自分一人だったらとてもではないがそんな犯罪を犯すことができないような人間に描かれている。
彼は何度も「俺は関係ない」「悪いのは親玉だ」とまるで自分の関与を否定するような言い訳を心の中で何度もつぶやく。。
 

同調圧力の力

途中何度もグループを抜け出そうとする主人公。ついには母親を伴ってその母親の目の前で殴られて縁を切る、ということまで実行したのにまたグループに舞い戻ってしまう。
親玉は何度だって居場所を突き止めてまた行動を共にさせる。
 
知識や経験が少なく、学校や狭い地域のような特定の居場所しか持たない人間はこのような同調圧力に屈しやすいと感じる。
そして何より少年には居場所がそこしかないのだ。高校にまともに行っておらず、地元を抜け出さなければ地域にはグループがいつも徘徊している。
1人だったら絶対にそんな悪事は働かないときでも大人数で誰かがやろうと言い出せば途端にそんな空気になってしまうのを皆知っているだろう。
 
未成年のちょっとした悪事が引き返せなくなって凶悪犯罪になってしまったこの事件も然りだが
企業が採算の合わない事業からもう辞めようと言い出せない社員だったり、果ては国家が始めてしまった戦争を辞めようと誰も言いだせないように、そんな事例は世の中に山のようにある。
大人はそんなこと自分で判断して手を引くことがまだできるかもしれない。もちろん未成年だって引くことができる人もいる。
同調圧力に屈してしまった少年を被害者と言う気は毛頭ないが(そもそもフィクションだし)気持ちは分からなくもない。
 
ところで日本の未成年犯罪は急減しているようだ。
女子高生コンクリート詰め殺人事件の昭和64年から見ると検挙人数は1/4程度になっているだろう
これ自体はとてもいいこと。娯楽の多様性、地元のヤンキーに魅力を感じない、コスパ主義(やんちゃするのはコスパが悪い)、理由はいろいろあるだろう。
若者にはぜひともその有り余る体力と時間を使って有意義なことに時間を使って欲しい。私もまだ30歳なので頑張ります!