紫色のつぶやき

どうせそんな悩みは1年後にはどうでもよくなってる

「まあ、あいつは運がよかったな。これからも頑張ろうな」

 
 
 
社会人6年目、今年で30歳になる。
 
私はメーカーで電子部品を開発している。
開発をしているのだが、業界・会社・部署の特性上プロジェクトがなくなることが非常に多い。
他社に乗り換えられる。技術的に無理でした、となる。
採算が合わないと上層部から言われて突然無くなる。部品とはそういう要素が強い。
 
だがいつか需要が来た時にいきなり開発を始めても到底間に合わない。
だから今需要がなくてもトレンドを先読みして開発を続ける。
ビジネスとはそういうものだ。研究開発的な意味合いもなかなか強い。
需要があってサンプル渡したけど顧客が「こんなの使えない」と言ったら終わりだからだ。
 
プロジェクトの採算が成り立っていないのか、
チームが開発する試作品が悪いのか、
運が悪いのか、
理由はいろいろあるが、私は今まで一つの製品も世に出していない。。。
 

2年前に行った転職活動

このままではこの会社は危なくないかもしれないが、自分のキャリアが危ないという予感があった。ロクな成功体験を積むこともできず負け癖ばかりが付くと考えた。
そして私は2年前転職活動を行った。
しかしちょうどいいタイミングで開発案件が入ってきたこともあって、
「もしかしたらこれで案件を成功させれば行けるかも」と淡い期待を抱いたのも事実。
踏み切ることができずに現職に留まった。
 
あれから2年。何かを成し遂げたかと言えば残念ながら何も成し遂げてはいない。
もちろん会社の中では成功しているプロジェクトもたくさんある、自部門だけの確率で言えば開発プロジェクトが立ち上がって最後製品化まで至るのは50%くらいだろうか。
 
花形部署の成功率はもっと高いし売り上げもたくさん立てている。
そのため会社の売り上げは外部から見れば非常にいい数字に見える。
50%というのは例えばシステム開発プロジェクトの中では結構妥当な数字のようだ。
 
システム開発とはまた勝手が違うとは思うが、私が行っているのはハードウェアの部品。結構大規模なこともあって年単位のプロジェクトも多々ある。
この4年間で2件のプロジェクトしか携わることができていない。
半分冗談のような話だがもう最近ではプロジェクトが発足されて割り当てられた人を見るだけで、だいたい成功するかどうかなんとなく分かるようになってしまった。
 

後輩の成功

つい最近先輩のサポートをしていた4年目の後輩は1年間取り組んできた大型プロジェクトを成功させた。
いくら先輩のサポートと言えど、彼の功績は非常に大きい。
実績を作ったのだ、会社に売り上げを立てたのだ。
 
昨日開かれた久しぶりの飲み会で彼が喜ぶ顔が忘れられない。
それを端っこで見ていた自分、帰り際何かを察したのか上司が自分に言った
「まあ、あいつは運がよかったな。これからも頑張ろうな」
この言葉を私は一生忘れられないだろう。
 
私は今日慌ててキャリアの棚卸をしてみた。何も成し遂げていない自分。
会社に売り上げを1円も立てていない自分。
間接部門ならともかくここは開発部門だ。直接顧客に売る製品を開発する部門でこれはかなりショックな数字だ。
 
もちろん専門知識が身についてはいる。なくなってしまったプロジェクトからも学んだことはたくさんあるし、確実に仕事を行う力はついている。
後輩の指導力だって少しはあるだろうし、企業特有の根回し、忖度もできるようになっていると思う。
 
少なくとも、どのプロジェクトも最初は製品開発は成功するという前提で立ち上がっているのだから、開発の途中段階までの仕事はたくさん行った。
関係部署とのやり取りもスムーズに行える。それを分からない4年目の後輩にたくさん教えてきた、しかし先を越された、という気持ちが非常に強くなっている。
実際そうでないことは頭では分かっている。
こんなの長い社会人生活から見れば修羅場でもなんでもないだろう。
だがどうしてもそういう思いはぬぐえない。。。
 
社会人生活はまだまだ長い、この会社にとどまって会社に貢献することもできるかもしれない。だがそうして2年前は転職に踏み切れず失敗(?)した。
だがこの会社に見切りをつけて他へ移れば違ったキャリアを歩むこともできる。それだって成功するかは未知数だ。
 
果たして自分にとって成功とは何だろうか、失敗とは何だろうか。
 
少なくともこの現状を維持することが最適でないことは分かる。
今度こそ淡い期待は捨てて現実的に今後のキャリアを考える必要性がありそうだ、2年前と同じ轍は踏まない。