紫色のつぶやき

どうせそんな悩みは1年後にはどうでもよくなってる

映画「マネーボール」 既得権は失われる。我々は変化しなければならない。

先日見た映画「マネーボール」の感想

 

マネーボール (字幕版)

マネーボール (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

野球で勝つための常識を覆した男

野球で勝つためには強い選手、よいスタッフ、多額の資金が必要である。というのはパッと考えれば常識だ。
この常識は野球に限らずあらゆるところで通じる常識だ。
そこに一石を投じたのが「マネーボール」だ
 
マイナーリーグ、アスレチックスのGM(ゼネラルマネージャー) で主人公であるビリー・ビーンは貧乏球団で金がない中、知恵を絞った。
今では当たり前に使われているようだがセイバーメトリクスという統計学的手法を用いて選手の能力を数値化。日の目を見ない選手でも使いどころを間違えなければ結果としてチームを勝利へ導くことができることを証明した。
 
マネーボールの舞台である2002年のシーズン、アスレチックスのリーグ成績は103勝59敗。リーグの勝利数はヤンキースと同じだ。
注目すべきは選手の平均年棒ヤンキースの1/3にも関わらずこれだけの勝利数を重ねたということだ。
 
映画中でも言及されていたが、これは「野球で勝つためには強い選手、よいスタッフ、多額の資金が必要である」という常識を打ち破った結果であり、今まで高い年棒をもらっていた選手、スタッフや多額の資金を持って安定していたチームの既得権を脅かすものであった。
ワールドシリーズ制覇こそできなかったものの、セイバーメトリクスを用いることで選手の使いどころを見極めチームの勝率を上げることができるができる、というのは画期的だったのではないだろうか。
 

既得権は脅威にさらされ続けている

一方で現代社会に目を向けてみると今ある既得権は脅威にされされ続けている。
 
  • 電気自動車の台頭でガソリン車・ハイブリッド車で力を持っている日本の自動車産業は脅威にさらされている。
  • 人工知能によりレジ打ち、翻訳家などの仕事はすでに代替可能になってきている。
  • 大企業での待遇もグローバルな競争、外資の買収、リストラなどでなくなりつつある。
  • 電波の利権を持っている携帯電話業界は値下げを強いられ、放送業界はインターネット配信に押されつつある。
  • 政治家の利権はまだあるかな(笑)。先日、菅首相の息子が接待をしている、なんていうニュースもあったが、バレて接待を受けた官僚は離職に追い込まれてしまった。
  • 年金も働く世代が少なくなり、もらえる額や時期がどんどん変わっている。我々の世代は個人年金をやらなければいけない始末だ。
  • 特許も考えようによっては既得権だ。これは企業努力の結果だから守られるべき権利ではあるが20年経過すれば消えてしまう。
 
私自身だって普段意識していないだけで既得権益の恩恵を預かり続けている
  • 日本に生まれたことで大きなテロや紛争もなく他国に比べて圧倒的に安全な毎日を送っている。
  • 実家が裕福で奨学金も借りずに大学院まで行かせてもらったこと。借金0で社会人になれるというのはとても裕福なことなのだと知った。
 

既得権は失われる

例えば今まで大きな既得権であった「男性である」ことはまだまだ有利に働くこともあるが、最近は不利益を被ることも多くなってきた。痴漢の冤罪を受ける人もいるし、弱者男性の風当たりは強くなる一方だ。「理解のある彼くん」は男性の前には決して現れない。
 
同様に「若さ」だって次第に失われる。若いころは年上からチヤホヤされていたが自分が年を取れば逆に若い人の面倒を見る側に回らなければならない。
 
我々は変化しなければならない。
黙っていても既得権は失われる。それを必死に守るときも必要かもしれないけれども、たいていは失敗に終わる。既得権を守ろうとする人や団体に対して我々は嫌悪感を覚えることも多いはずだ。
資本主義社会に生きていれば技術革新は否が応でも進み続けるし、実際それで我々の生活は豊かになっているのだから誰かの既得権を奪ってでもより豊かになる道を選ぶのが自然だ。
 
電気自動車の台頭はもう止められないし、人間を雇うより人工知能を搭載したロボットを1台購入したほうが効率が良ければ市場を席巻していく。
私の若さはゆっくりと、しかし確実に失われ、私のやっている事業だって変化に対応していかなければ、競争に敗れ終わりを迎える。
 
自らにどんな既得権があるのか
それが失われる時はどんな時なのか
失われた時に自らが失うのはどんな利益なのか
その時に備えて今できることは何なのか。
 
そういった危機感を常に持ち続けていないと、ある日突然自らの既得権を失っていたことに気づくのかもしれない。