紫色のつぶやき

どうせそんな悩みは1年後にはどうでもよくなってる

松原裕 阪神大震災と共に

先日1/17で発生から26年目を迎えた阪神淡路大震災
 
松原裕という男を知っているだろうか。
私もこの番組を見て初めて知った。
 
享年39歳。晩年は末期がんを患っていた。
阪神淡路大震災の被災者であり、15年近くにわたって若い世代に震災を伝えるための毎年チャリティーコンサートを運営してきた人だ。
残念ながら15回目を迎える2019年のコンサート前に亡くなってしまった。
息子が2人いるが離婚している、男一人(と彼のお母さん)で2人の息子を育て上げた、というすごい経歴の持ち主。
 

チャリティコンサート Coming Kobe

略してカミコベ、出演者はノーギャラで入場料は無料。
松原は発起人だ。スポンサー集め、出演者集めすべて1からスタートを切った。
彼自身が震災の被災者であり自宅が半壊の状態に陥りながら、当時はあまり当事者意識がなかったという。
震災を知らない世代に震災を知ってもらおうと考えて始めたコンサートだ。
 
入場が無料の代わりに会場のいたるところに募金箱があり、2018年のコンサートではなんと900万円もの募金を集めている。コンサートの収支報告書なんかも見ることができてもちろん赤字だ。。。
 
それを出演者や運営に当てるのかと思いきや全額東日本大震災熊本地震、豪雨災害地へ寄付すると言う。チャリティイベントとは本来そういうものだが、大変すばらしい取り組みだ。
 
今年はこんなご時世だが一応開催する方向で動いているとは書いてある。
 
 

照れずに向き合う

 
松原は番組の中で語っていた。
「きっかけは何でもいい、若い世代が照れずに自発的に行動し震災と向き合うことが必要」
 
自分もいちおうまだ若い世代なのでよく分かる。
友人と歩いており駅前で募金をするのをためらう人は多いのではないのだろうか。
伝えたい人に感謝の気持ちを伝えられない人、なんか恥ずかしい。
本当は泣きたいくらい感動したのに泣くとカッコ悪いようで我慢する。
 
「やらない善よりやる偽善」という言葉がある。
何もしないくらいならばたとえ照れながらでも、本心ではそんなに当事者意識をまだ持てなくても、
行動を起こし、寄付をし、何かを感じ考えることが大切だ。
 
若い世代はきっかけさえあれば、あるいは友人がやっているから、あるいはこのチャリティコンサートのようなイベントがある、
などの理由でフットワーク軽やかにいろんなことをやる。
まさに松原氏が起こしたこのイベントは阪神淡路大震災を伝えるうえでとてもよい方法を選んだ。
 

起こったことで人生クヨクヨするのはおもしろくない

これも彼自身が語っていた言葉だ。彼自身が36歳という若さで末期がんを患う、というとんでもない不運を体験しながらもこんな言葉が出てくるのがすごい。。
彼は障碍者への支援なども積極的に行っていた。
 
いったい何が彼をそこまで突き動かしたのだろうか?
震災の怖さを若い世代に伝えるという使命感、息子たちのため、彼の本心は知りようがない。
彼の人生に起こったことは部外者から見れば一見不運極まりなく自分だったらとても耐えられない、と思う。
 
しかし彼はみじんもそんな悲壮感を漂わせない。今も「松原裕」とGoogle検索すればトップに出てくる彼のツイッターアカウントがある。もちろん時間は止まったままだ。
 
これを読むと、とても死に際の人間には見えない。

 

 
彼の意思は今ちゃんと後世に引き継がれている。カミコベ2021、開催できるといいね!