紫色のつぶやき

どうせそんな悩みは1年後にはどうでもよくなってる

「意識高い系」でも「意識が高い」わけでもない自分

「意識高い系」。
単純に久しぶりにその言葉を聞いたなと感じた。

anond.hatelabo.jp

増田が「意識高い系」の30代の人と話して感じたことが綴られている。
彼は助からない。誰も彼に手を差し伸べる人はいない、たとえ彼自身が自分の底の浅さに気づいても、彼はもう30代。
巻き返すのは難しいと同時に人生自体はあと50年近く続いてしまうという地獄。
どこかのドラマで言ってた「人生は途中からでは変えられない」そんな言葉を思い出した。

根本的な違い

家にあったこの本を思い出したので手に取ってみた。

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意識高い系の特徴として下記のような特徴が述べられている
・なにやらすごいこと言うが底の浅さが見て取れる
・その人の背景や価値観、行動特性に一貫性がない
・自分の「安心領域」から抜け出していない

著者は主に意識高い系の就活生について上記のような特徴を述べているが、
社会人になっても仕事で何の成果も残していないのに権利ばかりを主張したり、俺が会社を変えてやると言わんばかりの勢いだけがある奴はあまり好かれない。

自問してほしい

さて話は変わって自分はどうだろうか。
何を隠そう自分だって数か月前は業界未経験でソフトウェアエンジニアなんかを目指して転職活動をしていたではないか
きっかけはコロナウイルスによる緊急事態宣言以降、私が勤務している会社でも在宅勤務が推進されたことだ。
ウチの会社は上司が認めた人物なら出社できるという変な制度を設けた。もちろん出社せずとも家でできる仕事はたくさんある。しかし出社が認められなかった私は会社からいらないと言われたと感じてしまった。

「そんな会社は辞めてやる」と私は転職活動を始めた。
独学でプログラミングを勉強し始めた。理系の大学院卒だしプログラミング自体初めてではないので、けっこう進む。(プログラミングスクールにはかろうじて行かなかったがけっこう調べた。。)

面接も何社か進み、なんと内定も得た。
しかし今より待遇がめちゃめちゃ落ちることに気づいて辞退した(よっぽど視野が狭まっていたのか内定後まで気づかなかった)。一連の活動を経て自分の底の浅さに気づくわけだが3か月かかった。

社会は変化する

紹介した本によれば「意識高い系」は本が発売された当時2012年から存在する。映画「何者」でその言葉は一気に有名になっただろうか。

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自分も主人公の目線で「意識高い系」を馬鹿にしながら本を読んでいたことを思い出す。
そして歴史は繰り返し、自分はまた「意識高い系」に逆戻りしていた。

当時と一つ違うことがあるとすれば社会を取り巻く環境が変化したことだ。
コロナウイルスはもちろんのこと、人工知能・AIによる仕事が奪われるという不安、副業解禁、大企業を取り巻く環境の悪化、人生100年時代。

著書の中で常見陽平が一刀両断する「日経ビジネスアソシエ」も2018年には休刊となった。
www.huffingtonpost.jp


ふとしたきっかけで本来自分がやるべき目の前のことを見失い、甘い誘惑に乗せられそうになることは一度や二度ではない。社会環境が悪化するほど人々は将来への不安を抱え、そこに付け込む人間は後を絶たない。
ツイッターに #プログラミング初心者 と書けば自称フリーランスエンジニアから何通ものDMが届く。

もう一人の自分を持ちたい

自分が意識高い系になった後で、この本を読むと思わず目をそらしたくなる言葉が盛りだくさんだ。

本に書いてあったことだが我々は仕事における自分、家庭を持っている人なら家族の一員としての自分、そういった自分に満足できず、楽しい「自分磨き」に走ってしまう人が多いようだ。

何を言っても批判されず(だって例えば交流会には金を払って行くのだから)、意識の高い仲間と一緒に安全地帯から意識の高い言葉を言っていれば、なんとなく自分がすごい人になった気分になるのではないのだろうか?

ようは趣味と同じだ、ランニングでもいいし、旅行でもいい、「意識高い系」になるのも同じ。それが自分のキャリアに直接は約に立たないことがほとんどだ。
本人がそんなこと100も承知で意識高い系になっているのなら問題はないが、「いつか世界を本当に変えられる」、と思っている人も多いのもまた事実、そこがランニングと違う。

搾取され続けてしまうのは見ていて確かにかわいそうではある。
しかし、タイトルにもある通り自分が「意識高い系」でも「意識が高い」人にもなれない中でそういった自分の信じる道(ようは宗教と同じ意味合いかもしれないが)がある人は少しうらやましくもあるなと感じた日曜日の夜でした。

意識高い系にも意識が高い人にも意識が低い人にも変わらず明日はやってくる。まずは自分の目の前にあるやらなければいけないことをしっかりこなすことが一番かな。